コーポレートレター/ライブ・ビューイング・ジャパン「アジアと日本を繋ぐハブになっていくことが当面の目標」【後編】

アミューズのグループ会社で、ライブ・ビューイング事業のパイオニアとして成長を続けてきた株式会社ライブ・ビューイング・ジャパン(以下、LVJ)が、2025年4月にシンガポールのCaton Technologyと共同で「LIVE VIEWING ENTERTAINMENT Pte. Ltd.(以下、LVE)」を設立。市場拡大が見込まれるアジアでの事業確立と、ライブ・ビューイング事業およびイベントシネマ配給事業を展開し、さらなるグローバル化を目指します。

後編では、2013年アミューズからLVJに出向後に転籍し、LVEの立ち上げを担うことになった執行役員の馬場恭平が、大きな転機となる今回のアジアでの挑戦について語ります。

▽ライブ・ビューイング・ジャパン「より多くの人がエンターテインメントに触れられるきっかけ作りをしていくのが僕の仕事です」【前編】
https://www.amuse.co.jp/topics/2025/04/post_269.html

コロナ禍前に目指していたアジア進出への挑戦

――Caton Technologyと共同で立ち上げた新会社設立の目的について教えてください。

実はコロナ禍以前からアジア進出は計画していて、東南アジアを中心に、自社資本を投下してインフラ設備をしていたのですが、コロナ禍で東南アジアに向けて中継をする予定だった公演がすべて中止になりました。その後の2年間は、ただただインフラを所有している状況が続いたので、まずは国内市場と会社の体力を回復させるため、2021年下期に東南アジアへの中継網の拡大を一旦中断しました。そこから国内の業績が回復傾向に向かい、ようやく安定してきた今、再びアジア全土への展開を目指そうということになりました。

2025年現在で日本の映画館には3675スクリーンありますが、今後、映画館は増えても統計的に日本の人口は減少していくので、コンテンツの質や人気が上がっていっても、動員が頭打ちになる可能性は非常に高いと思っています。それならどうするか。中継機会を増やすのか、チケット価格を上げるのか、中継規模を変えるのか、の3択だとしたら我々は中継規模を変えることにチャレンジしたいとなりました。
加えてライブ・ビューイングの競合他社との差別化のためには、現在の国内インフラ網だけでは不十分だとも捉えていて、アジア進出を考えていたときにアミューズがCaton Technologyに出資するタイミングと合致して、LVEという会社を立ち上げることになりました。

エンターテインメントの発信拠点はバンコク

――馬場さんが現地に赴任されるそうですね。

LVJでは設立当時から主に台湾、香港、韓国の東アジア地域に中継をしていますが、マーケティングを含めうまくいかない部分もあり、まだまだ課題が多い状況です。
そのLVJの海外業務を今回LVEに移管して、集中的に強化していく方針となりました。幸いにもLVEにはCaton Technologyの多国籍なスタッフと密なコミュニケーションが取れるため、地域ごとの法令や文化、特性などを理解しながら対応していく土台がある状況です。

この構図を描く中で自分には何ができるのか?と考えた時、ふと自分が現地に赴任することが一番LVJのためになるのではないかと思い、手を挙げました。タイのバンコクに駐在事務所を立ち上げて常駐します。

――LVEを設立したシンガポールではなく、タイのバンコクですか。

ライブ・ビューイングが浸透していく条件は、ライブ産業が成長している国であることが必須ですし、ライブ会場が満席となりチケットが取れない状態にあるのがライブ・ビューイング実施の一歩目になります。そう整理するとアジアの中ではシンガポールよりもバンコクが適切なのではとなりました。

――馬場さんにとっては大きな転換期ですね。

先日40歳を迎え、あらためて自分のキャリアを考えているタイミングとも合致しました。キャリアは実際に動かないと実現していかないと思っていたので、これはチャンスだと感じましたね。
まずはバンコクを拠点に東南アジアの映画館に定量的に中継ができる体制と契約も含めて整えるのがファーストミッションです。というものの、現時点でもなかなか思い通りのスピード感では進まず、レンタルオフィスひとつを借りるだけでも時間がかかり、日本との違いを痛感しています。年間の平均気温が30度と言われているバンコクで、レンタルオフィスの冷房は18時になったら自動的に止まるそうですし(笑)、そういった文化やライフスタイルの違いも全部ひっくるめて、すべて味わいたいですね。言語や生活含めて、難しい部分もあると思いますが、人生一度きりなので、楽しみながらチャレンジできればと思います。

――現地のライブ・ビューイング事情は現在、どのような感じなのですか?

東南アジアの映画館では、「ライブ・ビューイングを過去にやったことがある」という程度のスタートとなります。お客様にスクリーンの映像を通して感動や楽しさを伝える前に、映画館の運営会社にライブ・ビューイングの可能性をプレゼンし、技術的なテストを実施していくことから始めないといけません。

例えば、日本の映画館のプレミアシートと違って、バンコク中心部の映画館では、VIP会員と一般客が明確に区分されていて、VIP会員であれば、ラウンジ利用やマッサージサービス、ドリンクなどのサービスがデフォルトで付いています。この文化が確立されている中で、どのようにライブ・ビューイングを展開していけば良いのか、どうすれば一人でも多くの方にご来場いただけるかを現地の人たちとコミュニケーションを取りながら探っていきたいです。

LVJ/LVEがアジアと日本をつなぐハブとなり、躍動していくことが当面の目標

――今後の展望を教えてください。

我々LVJ、LVEの武器の一つは、指定した映画館に映像を伝送するインフラ網を所有していることです。まずはこの部分の最大化を目指し、規模を拡大すべく、アジア各国に増やしていきます。
そして、アジアをはじめとした海外進出を目指すアーティストやIPコンテンツ、エンタメ企業の方々と連携して、日本のエンタメ文化を発信するLVEでありたいと思います。
最終的には、インフラと仕組みを確立して、「LVJ/LVEに頼もう!」と真っ先に名のあがる状態を作り、アジアに中継するコンテンツ、展開を考えている人たちすべてのハブになれるよう、LVJからの初めての海外駐在員として、任期に縛られることなくやれるとこまで頑張りたいと思っています。

*社員の所属部署などの情報は2025年4月時点のものになります。

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