漫画家を目指す草介は、絶滅したニホノオカミを題材に漫画を描いているが、肝心のオオカミをうまく描けずに前に進めない。そんなある日、バイト先の工事現場で、逃げ出した犬を探す不思議な娘・ミドリと出会う。転倒しケガをしたミドリを、彼女の家族が営む写真館まで送り届けるが、そこはいつも見る東京の風景とは違っていた…。草介はミドリとその家族との出会いを通じて、その土地で過去に起きたことを知ることになる。東京の土地に眠る、忘れられた人々の想いがよみがえる、幻想譚である。
阿部純子、安田顕が出演した、金子雅和監督作品「リング・ワンダリング」が現在、渋谷シアター・イメージフォーラムほかにて全国公開中です。
公開初日となった、2月19日(土)に行った初日舞台挨拶に阿部が主演・笠松将さん、金子監督とともに登壇しました。
撮影が行われたのは、コロナで大変になる2年前の2月。奇跡的にすべての撮影を終え、この日に公開を迎えました。
東京出身、東京育ちの金子監督が、東京を舞台に描きたい、新しく変わっていく、開発されていく東京の地面に埋もれた記憶や命があるのではないか…という思いから着想を得て制作された本作。
そんな金子監督の脚本をはじめて読んだときの印象を阿部は、「正直文章だけでは理解しきれないな、と思って。そこはすごく魅力のひとつでした。監督の中でイメージが明確にあって、ドンドン映像として完成させていくというのはわたしたち役者にとってもとても楽しい過程でもありますし、どんな撮影になるのかなというのも、そこに興味を注がれるような脚本でした」と、魅了されたことを語りました。
川内ミドリと梢という2役を演じたことには、「まるで全然違う役柄だったので、キャストも違えば、撮影現場の雰囲気も違ったので…。どちらかというと、同じ映画の中で2役の中で共通点を見つけなきゃという感覚はなくて、監督の描くイメージの中に、登場する2役をいただいている、その中で何ができるかなと考えて、キャストの皆さんにも助けていただいて演じさせていただきました」と、2年前の撮影を思い出すかのように話していました。
作品について以外はあまり会話をしなかったという笠松さんと阿部。互いの印象について聞かれると、笠松さんは阿部のことを「柔らかくて優しい印象です」と。阿部は「笠松さんは縁の下の力持ちで、チームを引っ張ってくれる方です」と、話さずとも互いの印象をしっかり持っていたことを話していました!
「上映後いかがだったか、、ということを今から皆さんに聞くことが楽しみです。この2年間で皆さんもいろいろな経験をされて大変だったこともあったかと思いますが、こうして劇場で直接お目に書かれて本当にうれしいです。自分の出演している映画を見ていただけることを感謝しています。この映画の良さが多くのひとに伝わっていければいいなと思っていますので、皆さんよろしくお願いいたします」と、最後に挨拶した阿部。
不思議な魅力を持つ、本作。ぜひ劇場でご覧ください。