アミューズの財産である「人」や「モノ・コト」などにフォーカスするTOPICSオリジナル企画"アミューズ人"。
今回は、バラエティタレントや文化人、フリーアナウンサーらのマネージメント業務を担う一方で、Amazon Prime Videoにて手がけたオリジナル作品が次々と好評を博すなど映像プロデューサーとしての顔も持った、当社内でも独自のスタンスでモノづくりをしている第9プロデュース部 部長の徳山孝典(とくやま たかのり)。現在、フジテレビで放送中の新日本プロレス50周年特別企画『THEスピリット~闘魂レスラー発掘プロジェクト~』を手がける徳山に、入社の経緯から仕事に対する考え方、何故アミューズで番組を作るのか? 番組に懸ける想いを聞きました。
経験の中で気づいた時代の変化
"個人の時代"を生き抜くためにはまず"打席"に立つ必要がある
2006年に入社し、今年で入社17年目。
入社後、音楽アーティストのマネージメント部門へ配属となりましたが、入社の動機はサザンオールスターズが好きな友達に誘われて何気なく...だった徳山は、入社後3年間は人に言えないような仕事ぶりだったと苦笑いをしながら当時を振り返ります。
しかし、自身の所属部署の配置転換タイミングでの上司からの思いもかけない業務内容との出会いが転機となりました。
徳山「上司から"担当をつけないから、とにかく営業をしてこい"と言われたんです。とにかく朝からテレビ局・ラジオ局・番組制作会社に出向いて夜までずっと営業してましたね。で、帰ってからは番組のエンドロールや視聴率を翌朝までひたすらチェックしていました。大変でしたけど4年目から、いい意味でも放任主義と言いますか、放っておいていただけましたね。あまり縛られることが得意ではなかったので逆にそういう環境が僕には合っていたんでしょうね。
とにかくどうにかしてテレビ局に入れてもらって片っ端から挨拶して少しずつ顔を覚えていってもらって。そしたら、若手アーティスト(タレント)ではありましたが1年で100本くらい仕事が取れたんですよ。そこから、どんどん仕事が面白くなっていきました」
その後、2011年ごろから福田彩乃のマネージメントや、その後もフリーアナウンサーのマネージメント、業務提携をした新日本プロレスとさらに幅広くいろんなアーティストを担当するようになっていきます。その頃になると部下もでき、現場を任せられるようになることで、徳山自身、これから行うべき仕事を改めて考えるようになりました。
徳山「営業もそうですし、マネージメントでもいろいろと酸いも甘いも経験していく中で、あくまで個人的な考えですが、"時代はITなどの発展もあって180度変わっているのに業界や我々の手法・思考はそこまで大きく変わったのかな?"とふと考えるようになりまして。また、SNSの使い方を見ても分かるように"個人の時代"だなとすごく感じています。例えば主婦の方が料理をされている動画が何百万回再生される一方で、有名なタレントさんの動画なのにそこまで数字が伸びなかったり、評価の基準もこれまでとは大きく変わってきていると思います。
もちろん、企業だからこそやれることもたくさんあるとは思うんですけど、組織に属していても、結局"個人力"が強くないとこの先やっていけないんじゃないかなって漠然と考えるようになりました」
アーティストとメディアの間に立ち、アーティストにとっていい環境を作り、その才能をできるだけいい形で発信をどうしていくのが良いのかを考えるマネージメント業務において、やることすべてが仕事の一環だと思い、プライドを持ってやってきたと話す徳山。その中で突き詰めて考えていくうちに個人としての力を高めていくことも、今後を見据えた上でとても大事なことだという思いに至ります。
徳山「もちろん、自分の顔を出して何かしようとか、マネージメントもタレントデビューしたらいい、ということではないんです。でも、環境を作った上で最終的にはアーティストに委ねるということだけではなく、自分の考えていることを"これ、面白いと思うんですけど、どうですか?"ってこちら側も発信できるようにならないとダメだなと。そうしないと、いつまで経っても"人の作った作品の評価はできる"けど"アーティストや一緒に考えてくれるスタッフがいないと自分では企画も作れない人"になってしまう。野球で例えるならば、客席でヤジは飛ばすのにバッターボックスに立ったらバットを振ることすらできない、そんなふうになってしまっていいのかなと。だったら今、それを実行すべきだろうと思ったのが、今の番組制作につながっていったんです。僕が面白いと思うものを自分でゼロから企画して、それをどこかに持ち込むっていうことを一回、やってみようと思いました。なので企画に関しては完全に通るか、通りそうだなと感触があるまでは誰も入れず一人で考えるようにしています」
こうした考えを持つタイミングに重なり、Amazon Prime Videoが日本法人版『Amazonオリジナル』の配信開始や、ABEMA、Netflixが台頭し始めるなど、世の中の流れを身近に見ていたことがこれから先の自身の業務に大きく影響したと話す徳山。その後、ゼロから考えた企画をいくつも持ち込み、オファーしたい人には人脈をたどって面識もないのに直接電話をかけてプレゼンしたりと積極的に動いていきました。
結果、Amazon Prime Videoのオリジナル番組で、Amazon出資の作品としてはアミューズでは初となる『イヌネコ依存中』(2018)、"そこそこ昔"というニッチな切り口だが昭和のプロ野球好きに高い評価を受けた『プロ野球そこそこ昔ばなし』(2019)、2万以上ある作品の中で上位に入っていたというほど当初の想定を大きく上回る再生数で人気を博した『BEAUTY THE BIBLE』(2019)、日本のオリジナル作品でシーズン2を創ることはハードルが高いと言われている中、前シーズンからエピソード数を全15話にボリュームアップした『BEAUTY THE BIBLEシーズン2』(2020)を次々と手掛けることとなります。
徳山「4年間で外部の僕の企画を5本も通していただいたことはプラットフォーマーの皆様には本当に感謝しています。
ただ、変な話、僕は個人の力さえ上げられれば番組制作じゃなくても良かったんだと思うんです。何か今までとは違うことをやらないといけないという気持ちになっていたので、他のことで"これいけそうだな"と思うものが見つかっていれば、違うことでもよかったんだと思います。今回はそれが番組制作だったというか。色んなタイミングが重なってご縁もあって、制作会社の方々はもちろんのこと、自分の企画を面白いと思って出演オファーを快諾してくださった演者の方々にも恵まれましたし、本当にありがたかったですね」
最新作は"レスラー発掘プロジェクト"
「プロレスラーって本当はものすごくアスリートなんです」
▲企画はゼロから徳山が企画書を作りプレゼンを行う
現在、新日本プロレスの設立50周年特別企画として2023年1月からフジテレビ系月曜PLUS!でスタートしたオカダ・カズチカが本気で弟子を探すという新番組『THEスピリット〜闘魂レスラー発掘プロジェクト〜』を制作している徳山は、コロナ禍からこのタイミングで何をしようかと考えていたと話します。プロレスラーの方々にも話を聞く中で、オカダ・カズチカさんが新しい世代の育成をしたいと話していたことがずっと頭に残っていて、企画を作り、実現に至ります。また、バラエティ的な手法でありながらも真剣なスポーツとしてのプロレスを見て欲しい、と今後の課題についても語ります。
徳山「プロレスラーってなかなかアスリートとして見てもらいづらい現状があるんです。バラエティの大食い企画とか罰ゲームで誰かに技をかけるとか、そういう形で番組に呼んでいただくことは多いんですけど、例えばスポーツ番組でプロ野球選手やサッカー選手、あるいはオリンピック競技の選手といった方々と同じ画にプロレスラーが並んでいる場面というのはあまり見かけませんよね? 新日本プロレスと業務提携をさせてもらって6〜7年になりますが、そこが今、マネージメントしていく中での課題でもありますね。でも、プロレスラーって本当はものすごくアスリートなんですよ。なので今回、フジテレビさんが企画を面白いと思ってくださり、放送まで踏み切っていただいたことは本当にありがたかったです」
練習生候補として集まった10名が初回の放送で早くも9名に減る展開となるなど、そうした一人ひとりの葛藤もかなりリアルに捉えていると語る徳山。年齢も経歴もそれぞれ全く違う彼らがプロレスラーを目指してどんなふうに育っていくのか、見届けていただきたいと語ります。
徳山「現場では令和の時代にはちょっとそぐわないようなストレートな言葉が飛び出したりもしますが、そこには真剣に向き合っているからこその熱い想いがあって、それによって鼓舞される人も絶対にいると思うんです。ある種、昭和的とも言えますけど、そういったところも取り繕うことなく伝えていけたらと考えていて、観てくださった方が"明日、頑張ろう"でもなんでもいいんですけど、何かしら心に残るような番組にしたいですね」
頭の中にあることを形にする
今後は「アミューズに全くノウハウのないようなこともやってみたい」
徳山のようにマネージメントをしながら番組制作のプロデュースを手がけるというのは当社内でもあまり例がないことですが、自身がやろうと思えばそういうこともできるという可能性があることを知って欲しいと言います。
徳山「僕は昔、上司から"なんでも屋になれ"ってよく言われていたんですよ。マネージメントって別に偉そうな仕事ではないんだよと、なんでも屋だから、なんでもしなさいって。それを都合良く解釈している部分は多分にありますが(笑)、でもそれは今でも記憶に残っていますし、アミューズってそういう会社だと思うんです。
僕が思うアミューズのいいところは、仕事を進める上で権限委譲されていること。つまりトップダウンじゃないんです。いい意味で会社っぽくないと言いますか、上司がこうだからとか会社がこうだからではなく、自分がやりたいと思ったことに関してきちんと行動して、計画したり、責任を全うすることができれば、年齢やキャリアに関係なくやりたいことをやらせてくれる会社なんですよね。そういう意味でも魅力的な会社だと思います。
入社当初よく寝坊していた僕を見放さないでいてくれましたしね(笑)」
冗談交じりに話す徳山ですが、自由にやらせていただいた会社には本当に感謝していると話します。さらには今よりも力がついたら他の事業にもチャレンジしてみたいと今後の展望についても語りました。
徳山「アミューズは現在、アーティスト関連ビジネスが主ですが、僕はそれ以外の......例えば飲食業とか、不動産・金融業とか、アミューズに全くノウハウのないようなこともやってみたいですね。どんな分野も、今や誰にでもチャンスはあると思うんですよ。そのためには社内だけでなく外に出て社外や異業種から積極的に学ばないといけない。日本人だけかもしれないですけど、どこか経験や肩書きに頼りがちなところってないですか?例えば飲食経験があるとか年間何百軒食べ歩きしている人が流行る店を出せるかというと、そうとは限らないですよね。経験や肩書きを持っていないからって、頭の中にあることを形にしていない人が実はすごくたくさんいると思うんです。でも、これからの"個人の時代"は変化が多く先が誰にも見えない分、やってみないと分からないとことが今までより多いと僕は考えているので。別に今の業界に抗うとか、そういうことではなく、もっと自分らしさ、個人らしさを出していけたらと思います。
もちろん、マネージメントの仕事も大好きですし、アーティストを生み出していくことも目標です。その上で"個人の力"をしっかり発揮できるよう、これからもやっていきたいと思っています」
▲放送回を重ねる度に盛り上がりを見せる"THE スピリット"を最後まで見届けていただきたいと意気込む徳山
*社員の所属部署などの情報は2023年1月時点のものになります。
▽アミューズ映像作品ページ
https://www.amuse.co.jp/about/audiovisualcontent/streaming