アミューズの財産である「人」や「モノ・コト」などにフォーカスするTOPICSオリジナル企画。今回は、当社で映像作品の企画製作や出資参加を担う映像企画製作部にフォーカス。[前編]として今年入社8年となる映像企画製作部 中澤元(なかざわ げん)に当部署への配属のきっかけや仕事内容について、そして[後編]では10月6日に全国公開を控えるドキュメンタリー映画「アントニオ猪木をさがして」について、今作のプロデューサーである映像企画製作部 部長 筒井竜平(つつい りょうへい)に聞きました。
どういった作品が求められているのか、作るべきはどんな映画なのか
入社直後は企画書作りの日々
映像企画製作部の主な業務にはその名が示す通り、映画やドラマといった映像作品を企画段階から手掛け、公開に至るまでの道筋を立てて製作していくこと、そして、アミューズのアーティストが関わる映像作品への出資参加の窓口を担うこと、という2つの大きな側面があります。今年で入社8年目となる中澤元は、専門的な知識や豊かな経験が求められるこの部署においては珍しく新卒で配属となり、以降、映像企画製作部ひと筋の若手社員です。大学での専攻は文学部だったという中澤に、なぜアミューズで映像の道に就いたのか、まずは入社の経緯から聞きました。
中澤「将来的には文学の研究、または親が学芸員だったこともあって美術関連の研究をすることも視野に入れていたんですが、就活の時期が近づいてきて、これから何をやりたいか本格的に考えたときに、普通だったら手の届きそうにないことにもチャレンジできる機会が就活だなと思い至りまして。小さい頃から親に近所のミニシアターによく連れて行ってもらっていたりもして、映画はわりとよく観るほうだったんですよ。当初、自分の仕事にというイメージにはまったくなかったんですが、映像関係の仕事も調べるようになっていたときに、ちょうどアミューズが部門別採用をしていた年で、その中に映像企画製作部があったんです」
中学時代、アミューズ所属の俳優と誕生日が同じことを知り、勝手に親近感を覚えていたという中澤。さらに高校時代、スタジオジブリの名プロデューサー・鈴木敏夫氏のラジオ番組と出会ったことも、漠然とプロデューサーという仕事に憧れを抱き、この道へと進むきっかけのひとつでした。晴れてアミューズに入社、映像企画製作部への配属が正式に決定した中澤を待ち受けていたのは企画書作りの毎日でした。
中澤「配属当時、教育係としてついてくださった先輩に"企画書を出す仕事だから、とにかく作るように"と言われました。邦画の場合は原作をもとにした映画が多いので、小説や漫画などを読んだり、公開されている映画をなるべく観て、どういった作品が今、求められているのか、作るべきはどんな映画なのかを考えながら企画書を作っていくのがこの仕事の最初の一歩となるんです。でも、そもそも作り方自体がわからず、他の先輩方の作ったものを参考にするんですが、決まったフォーマットというのがなくて、個人の裁量が如実に表れるんです。先輩たちは当たり前のように"自分の言葉で企画書を書く"ことをやっていました。それを見せてもらうと、企画書段階で自分に足りてないものをいろいろ考え込んでしまって、なかなか提出できないなんてことも当時はよくありました」
入社前から温めていた1枚の企画書がきっかけに
初めて企画から公開までの過程を経験できた想い出深い作品とは
それでも少しずつ経験を重ねて自分なりのフォーマットを確立、ここ数年はコンスタントに企画を出せるようになってきたという中澤。そうして書き上げられた企画書は社内確認のハードルをクリアしたのち、原作がある場合は出版社などの版元をはじめ、映画配給会社やドラマの放送局へと持ち込まれてようやく製作に漕ぎ着けます。これまで携わった作品のなかで特に印象に残っているものをと聞くと、2021年に公開した沖田修一監督の映画「子供はわかってあげない」でした。
中澤「僕の上司であるプロデューサーの筒井(竜平)と一緒にやった作品なのですが、これは僕がいちばん最初に筒井と話をした企画だったんです。実は就活の時、面接でやりたい企画を聞かれたときにせめて自分がいいと思っている原作ぐらいは答えられるようにしようと企画書めいた紙1枚を持ち歩いていまして。その内容が、当時読んでいた漫画作品『子供はわかってあげない』の企画だったんです。結局、そんな質問をされることはなく、その1枚の企画書を出す機会もなかったんですけど(笑)。アミューズに入社後、配属されてすぐ筒井から"どういうことをやりたいのか"と聞かれて、この作品のことをそこで初めて話したんです。それから約半年後、"色々と企画を出してきたけどこれまで出してきたものでどうしてもやりたい企画はあるのか"と聞かれたときに改めて話をして、企画が動き始めたんです。そこから公開まで、いろいろありつつも最初から最後まで関わらせていただいたのがこの映画で、映画が1本できるまでの過程を初めてしっかり経験することができたんですよ。企画だけでなく、製作のための予算的な部分や宣伝も含め、公開までずっと並走させていただいて」
部署内では若手である自分だからこそ持てるアンテナで
いつか自分の企画を丸ごと1本手掛けてみたい
同業他社では分業制が敷かれている会社も多いなか、担当する人間が一人でここまで包括的に1つの作品に関わって手を動かすことは比較的珍しいこと。クリエイティブ面はもとより、資金調達のための営業努力などあらゆる実務的な作業にも厭わず取り組める人材が必要です。プロデューサーという役回りでは特にそうした手腕が求められ、時には泥くさく周囲に頭を下げて回ることもあれば、日々のプレッシャーに苛まれることも少なくありません。しかし、それらを経て作品を生み出したときの喜びは他には代えられないと中澤は語ります。そして、映像企画営業部の仕事で中澤が日々心がけていること、また、目標としていることは何なのか聞きました。
中澤「なぜアミューズで映像作品の企画・製作をやるのかというところは、やっぱり重要になりますよね。様々な個性や才能を持ったアーティストが所属する会社でもありますので、それを活かさない理由はないと常に考えています。そしてもちろんいい作品を創ること、その作品をヒットさせて会社に利益をもたらすことは会社員としての第一義だと思うので、そのために何をするべきかということも意識しています。それと......最近は作品1本1本の重みをより強く感じるようになっているんですよ。入社当初はまずは自分が面白いと思えるものが大事だと考えていた節があったのですが、今は自分の友達が進んで観たくなるような作品を創りたいと思っています。映画マニアじゃなくても一発で伝わるようなコンセプトは何か、世の中的に興味を持たれているもの、特に僕と同じ世代の人がどんなことに関心があるのか、意識して探すようになりました。僕は今年30歳になるんですが、百戦錬磨の先輩方が多いこの部署では全然ペーペーなので(笑)。でも20〜30代のアンテナだからこそ拾えるものもあると思うんです。そうやって自分の企画を丸ごと1本、手掛けられるようになることがまずは目標ですね」
"なんでもできる"と考えるのがアミューズ
自由に柔軟な発想で映像作品を生み出していきたい
[後編]でお届けする「アントニオ猪木をさがして」の魅力と映画の見どころを作品のプロデューサーを務める筒井が力強く語りますが、そんな筒井の"闘魂"に日々間近で触れているであろう中澤へ、インタビューの締めくくりとして映像企画製作部の今後の展望について聞きました。
中澤:「アミューズっていう会社は映画会社でもないですし、ドラマ制作会社でもないわけです。普通だったら、自分たちだけでは何も世の中に出すことはできないと思ってしまうかもしれないんですけど、逆に"なんでもできる"と考えるのがこの会社で。なので、映像企画製作部としても、それが強みにできるよう、もっといろんなことにチャレンジしていきたいですね。 "これはやれない"っていうことがないように、より自由に柔軟な発想でたくさんの映像作品を生み出していきたいと思っています」
*社員の所属部署などの情報は2023年10月時点のものになります。
▽アミューズ人/映像企画製作部 [後編] ―"人間・アントニオ猪木"を語るドキュメンタリー作品―
https://www.amuse.co.jp/topics/2023/10/post_239.html